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コリンスの美女 [西洋史・オリエント史]

コリンスの美女


これからお話しする「ラピスラズリ と 美女アメニア」と言う物語は実は僕が英語で書いた “Erotica Odyssey”という歴史エロチカ大ロマンの第1章です。この物語は全部で21章からなっており、初版は1000ページを越す膨大なものになりました。現在の版は贅肉を削(そ)いでかなり身軽にしたものです。
次に示すようにBook1とBook2に分かれています。それぞれのリンクをクリックすると、簡単な紹介記事を読むことが出来ます。

『ブック ONE』

『ブック TWO』

「ロブソンさん、私、英語版を読ませてもらいましたよ」
「ジューンさん、読んでくれましたか。それでどうでした?」
「とにかく長いですねェ~。よくあれだけのものを書きましたね」
「なんだか、呆れたようなものの言い方をしますね?」
「別に呆れたわけじゃないですけれど、よく書く種がつきませんでしたね」
「古典の『オディセイア』も随分と長いですよ」
「長いですけど、ずっと昔に書かれたものでしょう?紀元前7世紀ごろに書かれた、というようなことを読んだことがありますよ。他に何もすることがなく時間をもてあましていた人が書きとめたのでしょう?ロブソンさんにはお仕事があるでしょう」
「もちろんですよ。だから、暇を見ては書き溜めたんですよ。それでどう思いました?」
「やっぱりエロっぽいところがたくさんありますねェ~」
「ジューンさんはエロいのは嫌いですか?」
「嫌いではありません。むしろ興味がありますよ。でも、このサイトはアダルトではありませんから、英語版を日本語に訳してここに載せたら削除されるのではないですか?」
「だから、トーンダウンして書きますよ」
「そんなことしたら、面白みがなくなってしまうのでは?」
「大丈夫ですよ。削除されない程度にエロい事も盛り込みますから。。。」
「どのようにして?」
「だから、セックスシーンをリアルに書かなければいいんですよ。詩的にぼやかして書きますよ」
「でも、ロブソンさん、小説の中のイラストなんか、かなり写実的ですよ。欧米ではまず問題にならないですけれど、日本では問題にする人も居るのではないですか?」
「そうですよ。僕もその事を考えました。でもね、僕にしてみれば、その程度のイラストなど、美術教室のデッサンと全く変わりがありませんよ」
「絵画の素養のある人なら、デッサンと言うことで目くじら立てる人は居ないと思いますよ。でも、デッサンなど全く無関心なオバタリアンがこのイラストを見たらきっとポルノだと言って騒ぎ立てますよ」
「そう思いますか?」
「たぶんね 。。。」
「僕はね、削除されるのは馴れっこになっていますから、もしこの程度でポルノだと判断するのなら、削除されることも覚悟していますよ」
「英語版のほうはアダルトサイトにアップしたんでしょう?」
「そうなんですよ。しかし、もともとはアメリカの一般のプロバイダーのサーバーにアップしたんですよ。1年間ぐらいなんともなかったんですよ。でも、他のページの写真がポルノだと判断されたようで、アメリカのプロバイダーが英語版のErotica Odysseyと一緒に削除してしまったんですよ」
「では、Erotica Odyssey自体は問題がなかったわけですね?」
「そういうことですよ」
「じゃあ、どうしてアダルトサイトにアップしたんですか?」
「実は、一般サイトにも載せているんですよ。でもね、またものの分からない人が告げ口でもして、削除されると面倒なので、手間を省くためにアダルトサイトにも載せたわけですよ。そうすれば、削除されてもすぐに続きが読めるでしょう」
「随分手回しがいいですねェ。それでもし、このサイトの日本語版エロチカ大ロマンが削除されたらアダルトサイトに載せるわけですか?」
「そうするしかないでしょうね。」
「ロブソンさん、ところでどうしてエロチカ・オディッセイを書く気になったのですか?」
「僕は欧米で生活するようになってから、『オディッセイ』と言う言葉をよく耳にしたんですよ。もちろん日本に居たときにも知っていました。でも、たくさんの英語の単語の中の一つぐらいにしか思いませんでした」
「でも、ロブソンさんにとって特別な意味があったと言うわけですか?」
「僕にとってと言うより、欧米人にとって『オディッセイ』というのは教養のうちでしょう?ジューンさんだって知っているでしょう?」
「まあ、そうですね。『オディッセイ』を知らない人はまず居ないでしょうね」
「僕は知らなかったんですよ。言葉は知っていましたが、内容は分からなかった」
「それで、『オディッセイ』を読んだわけですか?」
「いや、読まなかった。荒筋だけを読んで止めにしてしまった。あんな長いの読む気になれないよ。しかも、英語で読むのはしんどいよ」
「そのように言うロブソンさんが、どうしてまた、きりもなく長いエロチカ・オディッセイを書き始めたのですか?」
「僕はね、『オディッセイ』を調べているうちに、この大叙事詩が欧米人の原点のような気がしてきたんですよ。つまり、現代欧米文明は古代ギリシャ文明、古代ローマ文明から営々と続いていると考えている人が多いんだよね。だから、イギリスなどでは、古代ギリシャ古代ローマの古典をとにかく飽きるほど勉強させられる。そんな印象を持ったんですよ」
「私は飽きるほどは勉強しませんでしたけれど。。。」
「中にはそう言う人も居るでしょう。とにかくね、日本で言うなら、『オディッセイ』というのは古事記や日本書紀、あるいは源氏物語に匹敵するようなものですよ。もし、日本人でありながら、源氏物語を知らないとしたら、かなりその人の教養を疑われてしまう。僕は、ちょうどそのような思いに駆られたんですよ」
「つまり、『オディッセイ』を知らないと欧米でバカにされると思ったわけですね?」
「手っ取り早く言えばそう言うことですよ。ところで僕はね、カナダでもアメリカでも、初め無神論者だと言っていたんですよ。でも、今から思うとかなり恥ずかしい気がしてきますね」
「そうですか?」
「そうですかって、ジューンさんだって、いま、僕を見下げたような目つきをしたじゃないか!」
「しませんよ」
「しましたよ、僕を哀れむような、可哀想だと思うような、そんな目つきでしたよ。。。」
「しません。。。。ロブソンさん、被害妄想ですよ」
「まあ、いいよ。。。とにかく、日本で言うなら、さしずめ『僕は字が読めません』と告白するようなものなんですよね。つまりね、何がいいたいか?それはね、欧米で『オディッセイ』を知りませんと言うことは、神を信じていません、と言うに等しいことなんですよね。日本でなら、『字が読めません書けません』と言うに等しいことなんですよ。僕は、そのことに気付いたんですよ」
「それで、エロチカ・オディッセイを書く気になったと言うのですか?」
「長い話を短くして言えばそういう事なんですよ。でも、それでは、あまりにもはしょった言い方だから、もう少し付け足すなら、『オディッセイ』を面白く勉強しようと思ったわけですよ」
「面白くって、どういう風にですか?」
「視点をエロい所に持ってゆき、そこから『オディッセイ』を眺めてみよう思ったわけですよ」
「ロブソンさんは面白い事を言いますねェ」
「エロっぽいところから『オディッセイ』を調べるのなら面白いと思ったわけですよ。そうでない限り、あんな長ったらしい叙事詩を百科事典を調べたり、英英辞典を調べたりして読むのは、僕にとってとてもしんどいことですよ」
「それで、面白かったですか?」
「面白かった。実に楽しかった。僕は、歴史を調べることの面白さを初めて知りましたよ」
「それ程エロい事にたくさん出くわしたのですか?」
「そうですよ。たくさん出くわしました」
「そう言う事をロブソンさんのエロチカ・オディッセイの中に書いたわけですか?」
「そうですよ」
「しかし、私は『オディッセイ』の中にエロいものがたくさんあるとは思いませんけれど。。。」
「表面的に読めば、エロい所などほとんどありませんよ。だから、そう言う風に読んでは、つまらないわけですよ」
「エロい事をでっち上げると言うことですか?」
「いや、でっち上げると言うことじゃないんですよ。勝手に想像して何も関係のない事を書いたわけじゃないんですよ」
「どういう風にエロい事を書いたわけですか?」
「つまり、脇道にそれたり回り道をしたと言うことですよ。例えばね、女性の職業で一番古いものは何か?ジューンさん知っているでしょう?」
「ええ、プロスティチュートでしょう?」
「そうですよ。でも、日本語で娼婦と書いたら、これはもう身も蓋もない話になってしまう」
「プロスティチュートは日本語で娼婦とか売春婦と言う意味でしょう?」
「確かにそういう風に訳されることが多い。でもね、ギリシャ古典のオディッセイアが初めて本として書かれた頃にはプロスティチュートに当たる古代ギリシャ語は (実はたくさんあるのだけれど) 今の日本語で言うなら巫女さんに近かった。つまり神にかしずく女性だった」
「男なら、牧師さんや神父さんと言うところですか?」
「そういうことですよ。例えば、古代ギリシャにコリンスと言う町がある。今でもありますよ。現地ではコリントスと呼ばれているようですね」
「また、どうしてギリシャのコリントスが出てくるのですか?」
「古代ローマに地理学者として有名なはストラボン(Strabo)と言う人がいたんですよ。このおっさんが当時のコリンスについて書いているんです」
「当時っていつ頃のことですか?」
「このおっさんは紀元前64年頃生まれて、紀元後21年頃亡くなったことになっているよ」
「ということは、85歳で亡くなったと言うことですか?随分長生きしたんですねェ~」
「そうなんだよね。この人は、とにかく当時のローマ帝国全土の地理・歴史をまとめて『地理誌(Geography)』という本を著したんだよ。ただ無駄に長生きしたわけじゃない、このような貴重な地理誌を書き残しておいてくれたお陰で、現代の我々はいろいろな事を知ることが出来るわけですよ」
「それで、そのストラボンさんは一体どのような事を書いたのですか?」
「このコリンスの町は2つのことで有名だったらしい。一つは極めて裕福な町だったということ。もう一つはこの町の女たち」
「この町の女たちがプロスティチュートだったのですか?」
「もちろんすべてじゃない。でも、かなりの女性がプロスティチュートだったらしい。それがローマ帝国中に知れ渡っていたらしんだ」
「そうなんですか」
「ところで、アクロコリンス(Acrocorinth)と呼ばれる場所があるんですよ」
「それって、どういう意味なんですか?」
「アクロというのはギリシャ語でtopと言う意味ですよ。アテネのアクロポリス(acropolis)があるでしょう。あれと同じです。ポリスは都市ですからね。丘の上の町でしょう。アクロコリンスは、だから丘の上のコリンスとでも訳せばいいんでしょうね」
「栄えた都市だったのですか?」
「地図を見てもらうとよく分かると思うのだけれど、コリンスと言う町は栄えるような地理的な位置を占めているんですよ。現在は地図に書かれているように運河が掘られていて、コリンス湾とサロニカ湾が運河で結ばれているけれど、昔は文字通り船の通り道がこの場所にあって、コロで船を転がしてもう一方の湾へ導いたらしい」
「つまり、交通の要所を占めていたというわけですね」
「そういうわけですよ。スエズ運河のミ二チュア版ですよ。2001年の統計では、スエズ運河の通行料は世界の海運貿易の7%、年間にして19億ドルの外貨収入をあげている」
「と言うことは、単純に1ドル100円とすると日本円で1900億円と言うことですね?」
「あれ、ジューンさんはけっこう計算が速いね。カナダ人には計算が苦手な人が実に多いんだよ。。。」

「そのぐらいの計算なら私にでも出来ますよ」
「とにかく、この町はこの2つの港からの儲けを独り占めしていたわけですよ」
「でも、女性がどうしてそれ程有名になったのですか?」
「昔から港町にはその種の女性がたむろするものなんですよ。現在だって、世界の港町にはこの種の女性の溜まり場がありますよ。例えば、アムステルダムですよ」

「この上の写真はなんですか?」
「これは、あの有名な飾り窓の女たちがたむろする赤線地帯ですよ。つまりRed-light Districtです」
「あの~~~、ロブソンさんもこの飾り窓の女性たちと面識がおありになるのですか?」
「ジューンさん、そのように改まって質問されると答えにくいなああ~~~」
「答えたくないのですね?」
「なんだか、ジューンさんに警察で尋問されているような気分になりましたよ」
「いいんですよ、別に答えたくないのなら。。。」
「いや~~、そうやってすねられてしまうと、このあと話が続かなくなるから答えますよ。もちろん、一人や二人とは面識がありますよ。せっかくアムステルダムへ行ったのですからね、世界的に有名なあの飾り窓の女性と会わずに帰ってくると言うのはもったいないですよ」
「もったいないから、会って来たのですか?」
「ジューンさん、そうやって絡(から)まないでくださいよ。別に犯罪を犯してきたわけじゃないんですからね」
「確かに、あそこでは政府公認らしいですからね」
「ジューンさん、よく知ってますねェ~。へへへへ。。。。」
「笑いでごまかそうとするのですか?」
「いや別に、ごまかしているわけじゃないんですよ。。。。じゃあ、次の話題にいきましょうねェ」
(ジューンさん、なんとなくブス~~として機嫌を損ねています。)
「僕はね、ただ、港町にはその類の女性が居るものだと言う事を例えとして出したまでのことなんですよ。ここで、売春が良いとか悪いとか議論するつもりはないんですよ。ただ事実として、現在の世界的な港町の実情をここで説明したまでのことです。古代ギリシャの港町コリンスでも、このことは本質的に変わりがなかったんですね。そう言うわけでたくさんの女性たちが船乗りの相手になって、一儲けしようとこの街にやってきたわけですよ」
「。。。」
「どうですか?ジューンさん、理解していただけたでしょうか?」
「。。。」
「分かりましたか?」
「でも、その説明では、現在の状況をただ大昔に当てはめたようなものだから、どこにも新鮮な見方がありませんよね?」
「さすが、ジューンさん。目の付け所が違いますね。痛いところを突いてきますね。確かにその通りですよ。こういう説明では全く面白みがないですよ」
「ロブソンさん、じらさないで、その面白い説明とやらを聞かせてくださいよ」
「では、まずミロのヴィーナスから話し始めないといけません」
「ミロのヴィーナスですか?」
「その通り。。。」
「関係あるのですか?」
「大有りですよ!」
「どのように?」
「ミロのヴィーナスと言うのは大抵の人が知っていますよね。ルーブル美術館にある像はあまりにも有名になりました。ちょうどそのようにコリンスのヴィーナスは古代ギリシャ世界にはあまねく知れ渡っていたんですよ。ちょうどミロのヴィーナスのようにね」
「でも、ヴィーナスと言うのは古代ローマの愛の女神でしょう?」
「そうです。でも、もともとは古代ギリシャのアフロディテ(Aphrodite)を借りてきたものですよ。ローマ人は、ギリシア人のような独創的な文化を創り出すことができなかった。ギリシア文化・ヘレニズム文化の模倣におわってしまった。ただし古代ギリシャ文化を集大成し、後世に伝えたという点では功績を残しました」
「でも、ローマの水道だとか、コロシアムだとか、古代ローマ時代に作った道路網などはすごいじゃないですか」
「確かにそうです。僕も、古代ローマ人がギリシャ人の物真似に始終していたというつもりはありませんよ。法律や土木建築などの実用面には長所を発揮しました。でもね文学、哲学、歴史学や神に関わる分野ではギリシア・ヘレニズム文化の影響を強く受けました。そういうわけで、古代ローマのヴィーナスもね、アフロディテの影響を強く受けているわけです」
「でも、日本では圧倒的にアフロディテよりもヴィーナスのほうが有名ですね?」
「そうです。だから僕も、初めにヴィーナスを持ち出したんですよ。そのほうが分かりやすいですからね。初めにアフロディテなんて言っても、全く分からない人も居ると思いましたからね。でも、ヴィーナスと言えば、日本人のほとんどすべての人が知っていますよ。そう言う意味でも、古代ローマ人が古代ギリシャ文化を集大成し、後世に伝えたという点では功績を残したと思いますね。つまり、アフロディテをヴィーナスとしてね」
「それで、そのアフロディテが、どのように関わってくるのですか?」
「それは、また次の機会に説明します」


この記事は次のページをコピーして編集したものです。

http://www.geocities.jp/barclay705/crete/lapis3.html

きれいな写真や地図がたくさん貼ってあります。
興味のある人はぜひ読んでみてください。


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