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性の快楽とスキンシップ [性の悩み・セクハラ・愛と性]

性の快楽とスキンシップ

あなたはイクことにこだわっていますか?




  

昭和7(1932)年28歳の時に大阪へ行き同じ商売(コールガール)をしました。 しかし、間もなく淫売を止め1年ばかり妾をしておりました。 その間、相手は3人変り毎月60円から100円の手当をもらっていました。

この頃から情事に快感を覚え一人寝は淋しくてなりませんでした。 妾では旦那の来るのが月に5回か6回なので淫売当時の好きな客2人ばかりとも時々関係していました。 金もたやすく入ったし暇もあったので遊蕩三昧の生活をするようになりました。 暇に任せて麻雀したり、宝塚へ遊びに行ったり、道頓堀へ出掛けたりして浮かれておりました。



男と関係を持っていないと気がイライラするので、
当時お医者さんに診察してもらった事がありました。

お医者さんは「別に異状はない。そのような事は人間として当然ある事だから独身より真面目な夫婦生活をするがよい、それができないようであれば、精神修養の本を読んで気分を転換しなさい」
そう言われました。

『自伝・阿部定の生涯 その2』より

デンマンさん、また、定さんの事を持ち出すのですか?

阿部定さんは有名だからね。ほとんどの人が知っているし、それに定さんの事は予審調書に基づいて書かれている。つまり、デタラメやいい加減なことを書いているわけじゃない。

でも、定さんが事件を起こしたのは70年前ですよ。

人間の心も体も70年前と変わっていませんよ。

でも、時代が違いますわ。

時代は変わってゆくものですよ。でも 1+1 が2であることに変わりがないですよ。

デンマンさんは、すぐに、そのような理屈をこね回してあたしを煙に巻いてしまうのですわ。

僕が言いたいことは、真実とか、真理と言うものは時代とともに変わってゆくものではなくて、変わらないものが真実だとか真理だと思う、と言うことですよ。

でも、デンマンさんは、どこかで真理も変わってゆくものだと書いていましたわ。

1000年ぐらいの時間を考えれば変わってゆくと言ったまでですよ。ニュートンの万有引力の法則は真理だと思われていた。もちろん、間違っているわけではないけれど、アインシュタインがそれを修正して相対性理論を構築した。絶対真理はない、と言うことですよ。あるのかもしれないけれど、人間が不完全である以上見えませんよ。だから、人間は常にその絶対真理に限りなく近づこうと進化している。アインシュタインだって、相対性理論を絶対真理だとは思っていなかった。だから、現在では、アインシュタインの相対性理論をさらに修正統合する理論ができている。でも、それだって、絶対真理ではない。

何も、そのような難しいことを持ち出さなくてもいいでしょう?

レンゲさんが、定さんの事にケチをつけたから僕がガタガタ言っているわけですよ。

とにかく、定さんは普通の女性ではありませんわ。その女性のことを持ち出してきて、あたしと比較するのはちょっと。。。

そんなことを言ったらきりがないですよ。なぜなら、この世には一人として全く同じような考えを持った人は居ないし、それぞれの人がみなユニークな性格や考え方を持っている。顔も違えば、生い立ちも育ちも皆違う。極端に言えば、人はそれぞれ皆違っているわけですよ。

だったら、定さんのことを持ち出すことも意味がないでしょう?

でも、定さんも、僕も、レンゲさんも同じ人間である事に変わりがない。だから、同じ人間として理解することができる。それが基本ですよ。

でも、あたしと定さんとでは違いすぎますわ。

それは、レンゲさんの極めて個人的な考えですよ。僕がこれまで知り合った女性のことを考える時、僕にとって定さんに最も似ているのがレンゲさんなんですよ。

でも、デンマンさんのそう言う考え方、見方だって極めて個人的なものでしょう?

だから、こうして記事を書いて、僕は世界のネット市民の皆様に読んでもらっているわけですよ。共感してくれる人も居るだろうし、デンマンは馬鹿なことを書いていると思う人だって居るでしょう。

つまり、理解してくれる人に向かって書いていると言うことですか?

そうですよ。すべての人が僕の言うことを理解してくれるとは思っていませんよ。アインシュタインの相対性理論だって、すべての人が理解しているわけではありませんからね。

分かりましたわ。それで今日はあたしがイクことにこだわっていると言って、デンマンさんはあたしを世界のネット市民の皆様の前で晒すのですわね?

別に、レンゲさんを晒すつもりではありませんよ。僕はレンゲさんのようにイクことにこだわっている人が、結構他にもたくさん居るのではないかと思うわけですよ。

どうしてそのようなことが分かるのですか?

レンゲさんが、そのように尋ねるのなら、くどいようですが次の統計を見てくださいよ。

性生活満足度ランキング最下位は日本



AP通信によると、米シカゴ大学の研究グループが29カ国・地域を対象に実施した性行動・態度に関する調査の結果が、学術誌アーカイブス・オブ・セクシャル・ビヘイビアー4月号に発表された。
それによると、性生活に満足している人の割合が最も高かったのはオーストリアだった。
71.4%が「満足している」と答えた。
一方、最も低かったのが日本で25.7%だった。

上位5カ国は、オーストリア71.4%、スペイン69.0%、カナダ66.1%、ベルギー64.6%、米国64.2%。
下位5カ国は、タイ35.9%、中国34.8%、インドネシア33.9%、台湾28.6%、日本25.7%

ただし、この研究の対象者は40歳から80歳まで。

結論:

性的問題で肉体的要素が占める割合は、年を重ねるにつれて男性の方に大きく影響する。
しかし、心理的な要素、パートナーとの人間関係が、肉体的要素と同様に性的満足感とパーフォーマンスに大きな影響を与えているようだ。

SOURCE: AP通信 (2006年4月19日)
“Sexual Problems Among Women and Men Aged 40-80”

また、この記事ですか?

またですかって。。。レンゲさんがイクことにこだわっている事と関係しているから、また出すんですよ。

一体、どのように関係していると言うのですか?

レンゲさんは、どうして日本人の性生活満足度がこれほど低いと思いますか?

だから、デンマンさんがおっしゃったではありませんか。。。心理的な要素、パートナーとの人間関係が、性的なテクニックだとか肉体的要素以上に悪い影響を与えているからだと。。。

よく覚えていますね?忘れてしまったのかと思っていましたよ。そうですよ。上に引用した文章の中でも研究者が指摘していますよ。セックスそのものが問題と言うよりも、心の問題なんですよ。つまり心理的なもの、人間関係そのものが影響しているんですよ。僕もレンゲさんの話を聞いたり、僕が2ヶ月間レンゲさんと暮らしてみて、しみじみそう思いますよ。

あたしには心の問題があると言うことですか?

そうですよ。

あたしの心の問題って何ですの?

一言で言えば、レンゲさんの期待が大きすぎるんですよ。

そんなことありしませんわぁ~。あたしはイクことに大きな期待を持っているわけではありません。

期待を抱いていないのなら、こだわりすぎていますよ。僕がおととい言ったように“足るを知る”と言うことなんですよ。早い話が、オリンピックの100メートルで10秒を切る選手が居る。誰もがすごいと思うでしょう。だからと言って、僕が100メートルを10秒で切れるように一生懸命練習して頑張るか?レンゲさんはどうですか?100メートルを10秒をきるように走りたいと思いますか?

もちろん、思いませんわ。

なぜですか?

だって、そんなことができるとも思いませんもの。それに、100メートルを10秒以内で走れたからって、あたしの人生がバラ色になることもありませんわ。

でしょう?つまり、レンゲさんは100メートルを10秒以内で走らなければ、幸せになれない、とは思っていない。でしょう?

もちろんですわ。

でも、イクことにはこだわる。。。なぜですか?

だって、愛し合っている人と一緒にイキたいです。

でもね、おとといも言ったけれど、レンゲさんは寂しくて死にたいともらしていたこともある、孤独に追い込まれて、落ち込んで、クスリ漬けになって、もう生きるのがしんどいと、自暴自棄になっていたことがある。あの頃から比べれば、現在のレンゲさんは幸せそのものでしょう。清水君とは毎日愛し合っている。寂しくはない。経済的にも困っていない。仕事も順調。そして愛し合える人が居る。だから、現在のレンゲさんは幸せだと感じていいんですよ。でしょう?

以前の落ち込んでいた頃と比べれば、あたしは確かに幸せかもしれません。でも、洋ちゃんと愛し合っていて一緒にイケないと言うことはつらいんです。洋ちゃんの愛に充分に応じていないように感じるし、あたし自身が洋ちゃんを充分に愛していないのではないかと。。。

だから、そのように考えることが100メートルを10秒以内で走ると言うことなんですよ。何も、新記録を目指す必要はないですよ。100メートルを10秒以内で走って幸せだと感じる人も居るでしょう。でもね、オリンピックに出たいと思わない人にとって、100メートルを10秒以内で走ることは意味のないことなんですよ。レンゲさんだってそう言ったでしょう?

100メートル競走とイクことを一緒にしないでくださいな。

しかし、心の問題として考えるなら、100メートル競走もイクこともまったく変わりがないんですよ。

どういうことですか?

あのね、江戸時代、明治、大正、昭和と。。。戦前まで『女大学』の教えに従って、愛している男に抱かれても冷凍された“マグロ”のように布団の中で冷たく横たわっていた女性がたくさん居たんですよ。でもね、21世紀になってもイクことを知らない女性が95%も居ると書いていた人が居ました。



さまざまなテクニックの実践による性的満足が幸せな結婚生活への道であると説いています。『完全なる結婚』が強調しているのは、従来の男性が一方的に性的満足を得るような性交のあり方ではなく、男性と女性の双方が満足できるようなセックスを通して結婚生活が築かれるとしている点です。そこでは女性の能動的な参加も、望ましいこととして推奨されています。

1960年代になると、マスターズ&ジョンソンの膨大な人体実験による「人間の性反応」が刊行され、性理論は、確立されたかに見えました。しかし、その理論は、あまりに膨大な実験の結果であったため、誰も異論を唱えることができず、そこに内在する重大な矛盾を放置したまま、それを土台にした理論が氾濫して行くことになります。マスターズ&ジョンソン理論においても、オーガズムの定義は確立したとは言い難いようです。

21世紀を迎えた今日、女性の95%がオーガズムを知らないという状況が続いているそうです。ヴァン・デ・ヴェルデは、女性のオーガズムは男性のそれより後で発現することを実験によって明らかにしました。しかし、後の動物実験(アカゲザル)では、メスのオーガズム収縮によって、オスの射精が起こるということが確認されています。

『完全なる結婚』より

この95%という数字をそのまま受け入れるわけではないけれど、男と違って女性のイクことが、そう単純で簡単なものじゃないと言うことは僕も理解していますよ。しかも、男性経験の豊富なレンゲさんが清水君と毎日愛し合っているのに、イケないと言うんですからね。。。僕は初めて聞いた時、信じることができませんでしたよ。

でも、今は信じているのでしょう?

そうですよ。。。なぜなら、心の問題だと思うようになったから、レンゲさんのつらさも理解できるようになりましたよ。仮に上の95%という数字が正しいとしますね。すると、イクことを体験している女性はわずかに5%だけだと言うことになりますよ。だから、レンゲさんのように、イクことにこだわっている女性がすべてなら、性生活満足度は5%と言うことになりますよね。でも、実際には25.7%と言う数字が出ている。僕が言おうとしていることが分かりますか?

イケない女性でも性生活に満足している人が居るという事をデンマンさんは言いたいのでしょう?

そうですよ。イクことだけが性生活の満足度を決める物差しではない、と言うことですよ。つまり、心理的な要素、愛し合う二人の人間関係の良さ・悪さが関係してくるわけですよ。

つまり、デンマンさんは、あたしと洋ちゃんの人間関係に問題があると言うのですか?

レンゲさんと清水君は文字通り毎日愛し合っている。だから、二人の人間関係には問題があるとは思いませんよ。

何が問題なんですの?

だから、僕がおととい言ったように、レンゲさんには“足るを知る”と言う気持ちが欠けているんですよ。こだわる必要のない事にこだわっているんですよ。

こだわっていませんてばああああ。。。。あたしは、ただ。。。あたしは、デンマンさんに抱かれた時のように。。。イキたいと。。。ただ、そう思っているだけですわぁ~。

ほら。。。ほらぁ~~。。。また、レンゲさんは同じことを言うゥ~~僕は泣き出したくなりますよぉ~~。んも~~。。。僕はレンゲさんを抱いたわけではありませんよ。去年の夏、レンゲさんは怖い夢を見たと言って僕の部屋に入ってきたんですよ。まるで8歳の女の子のように、べそを浮かべて僕の部屋にやってきたんですよ。そんなレンゲさんを見たら、むげに突き飛ばして追い返すわけにもゆかないでしょう?だから僕はレンゲさんに“怖がらないようにね。。。”と寅さんのように優しくハグしたんですよ。。。ねっ?そうだったでしょう?

そうかもしれませんわ。。。でも、。。。でも、。。。とにかく、デンマンさんのベッドの中で、デンマンさんの腕の中であたしはイッタんです。

そういう風に言うから誤解を招くんですよ。んも~~。。。僕とレンゲさんはエッチしたわけではないんですよぉ~。

だったら、あたし、どのように言えばイイのですかぁ~?

だから、誤解を与えるような場合には黙っていればいいじゃないですかぁ~~。

もう、言ってしまいましたわぁ。うふふふ。。。

うふふ、じゃないですよ。ったくうゥ~~。。。仕方ありませんよ。僕はできる限りここで弁解しますよ。

どのように?。。。うふふふ。。。。

僕をこのような苦しい立場に追い込んで、楽しんでいるのですかああああ?

デンマンさんがどのように、こじつけて説明してくださるのかと思って楽しみなんですわぁ。

ではね、まず次の定さんに関わった人の証言を読んでくださいよ。

前代未聞の阿部定事件が発覚すると、それは野火のように瞬く間に日本全国、津々浦々まで広がる勢いを示した。

各新聞は一斉に号外を出して「阿部定逮捕」を報じた。 このとき、国会では2つの委員会が開かれていた。 ところがこの号外を耳にした委員長は緊急動機を発令し会議を中断するほどだった。

委員会の全員が号外を手にして、それこそ世界大戦争が始まったかと思うほどに、血眼(ちまなこ)になって号外を読み耽った。

当然の事ながら阿部定さんが異常性欲の持ち主だと言う事が噂され、この種の噂は後を絶たない。 定さんと関係した男たちは、彼女がオーガズムに達すると体が震え出し、それから1時間近く失神していたと証言した。

中京商業高校の校長の大宮五郎先生は、最初に定さんと関係したとき、欲情した彼女の淫水が多いことに驚いて、病気ではないかと思ったと述べている。

定さんの精神鑑定をした東京帝国大学の村松常雄教授は、彼女を先天的なニンフォマニア(nymphomania:淫乱症)と診断した。

『阿部定事件の波紋と後半生』より

デンマンさんも定さんが淫乱症の女だと思っているのですか?

イヤ、決してそう思っているわけではありませんよ。僕は定さんは普通の女性とあまり変わるところがなかったと信じていますよ。

なぜ、そのように思うのですか?

むしろ、ある意味では性的に晩生(おくて)じゃなかったのか。。。?なぜならね、定さんが初めて抱かれたのは15才の時だったわけですよ。でも、男の腕に抱かれるようになって、本当に体の歓びを感じ、癒されるという思いに浸ったのは28才になってからですよ。このページの初めに引用した文章の中に書いてある通りです。

このためにデンマンさんは、初めの文章を引用したのですか?

そういうわけですよ。定さんが女性として開花したのは初体験の時から数えて13年目ですよ。でも、定さんが男に対して単純なパターンで対応していたかと言うと決してそうではないんですよね。定さんは次のように言っているんですよ。

私が変態性欲者であるかどうかは私の今までの事を調べてもらえば良く判ると思います。今までどんな男にも石田と同じような事をした訳ではありません。今までは自分を忘れて男と関係したことはなく好きな男だと思い金をもらわないで遊んだこともずいぶんありました。それでも自分を忘れず時と場合と考えて簡単に別れておりました。

例えば中川朝次郎さんにしても寝た時は良いが顔や姿の悪いアラが良く判っており、同人と関係して自分が眠っている間に帰られ、今頃は奥様を抱いているなと想像しても平気でした。

大阪で淫売している時に知り合った八木幸次郎という人は様子も良いし表面金離れもよかったし、かなり惚れ合っていましたが金もないのに取りつくろって見栄をはる様子が目に付き、別れるのを何とも思いませんでした。

今まで私はそれほどに理性が勝って男にビックリされた事もありました。

ところが石田だけは一点の非の打ち所がなく、強いて言えば品がありませんが、かえってその粋な所を私が好いたので全く身も心も惚れ込んでしまったのです。

女として好きな男を好くのは当り前です。私の事は世間に判ったから可笑く騒がれるのですが、女が男のモノをすごく好きになるのは世間にざらにあると思います。

『自伝・阿部定の生涯 その6』より

定さんは、このように自分のことをむしろ理性的な女だと思っていた。感情に押し流されて自分を見失うことはなかったと言っているんですよね。

石田吉蔵さんだけは別だったわけですね。

そうですよ。

なぜでしょうか?

“気が合う人”と言う言い方がありますよね。一口で言ってしまえば、定さんにとって吉蔵さんは、そういう人だったんでしょうね。昔からこの種の言葉はありますよ。たとえば、“比翼連理”だとか“断琴の交わり”とか。。。“以心伝心の人”とかね。。。定さんにとって、吉蔵さんは、生まれて初めて出合った“気心が通じ合う人”だった。心ばかりではなく、性的な関係でも、二人はぴったりと合う鍵と鍵穴のように、うまく気持ちが通じ合った。定さんは吉蔵さんとの関係を次のように言っていますよ。

私は石田をこのように恋慕愛着したのですが、石田のどこがそれほど良かったのかと言われても、ここと言って答えることは出来ません。石田は様子といい態度といい、けなす所は一つもなく、あれ程の色男に会った事はありません。

42才とはとても思えず、せいぜい27才か28才に見え皮膚の色は20代の男のようでした。気持ちは極く単純でちょっとした事でもとても嬉しがり、感情家で直ぐ態度に表わし赤ん坊のように無邪気で、私が何をしても喜んでくれ、甘えてたりしていました。

また、石田は寝間がとてもたっしゃな男で情事の時は女の気持ちをよく知っており自分は長く辛棒して、私が充分気持ちが良くなるようにしてくれ、口説百万陀羅で女の気持ちをよくすることに努力し、一度情交してもまた直ぐ○○○○○という精力振りでした。

私は石田が技巧だけでなく本当に私に惚れて情事をするのかどうか試したことがありました。申し上げるのも失礼やら愧(はずか)しいやらですが4月25日吉田屋を家出した時、私は○○でお腰が少し汚れていたのですがそれでも石田は厭がらず触ったり舐めたりしてくれました。

4月27日か28日頃、待合「田川」にいた時、私が椎茸のお吸物をアツらえ石田に「本当に惚れ合うと椎茸やお刺身を前に付けて喰べるんだってね」と言うと石田は「俺だってしてやるよ」と言ったのでお吸物から椎茸を出して箸でそれを私の前に差込み汁を付けてチャブ台の上に置いたところ、しばらく巫山戯てから石田がそれを半分喰べて私もそれを半分喰べました。

私が余り可愛くて気が詰まる程石田をギュッと抱きながら誰ともよい事をしないように殺しちまおうかしらと石田に言うと石田はお前のためなら死んでやるよと言いました。

私たちが5月4日か5日頃「満左喜」に居た当事は、金が続かないから家に帰らなければならないと言うので私が石田のものを取ってしまうと言うと、石田は「家へ帰ったってしやしないよ。お前だけだよ」と言ったり、冗談にせよ石田は恋の技巧がとても上手でした。

その他、石田が私に親切であったことは今まで述べた通りでしたから石田と初めて関係してから、だんだん石田に心を惹かれ、4月23日から5月7日まで2週間も待合を泊り歩いたのですから普通なら飽きが来るはずですがどうしても石田と一緒に居るとますます良くなるばかりで、一旦別れて8日から10日まで一人で居た時の嫉妬と焦燥の気持ちは今考えてもあれ程辛かった事はありません。

『自伝・阿部定の生涯 その6』より

どうですか?あれだけ自分のことを理性的な女だと言っていた定さんが自由奔放な可愛い女になって吉蔵さんにのめりこんでゆく。理性の世界から情念の世界へと自分を駆り立ててゆく衝動が定さんをすっかり捉えてしまう。こうして二人は情痴の世界に溺れて行く。ブレーキが利かなくなったのは、二人があまりにもぴったりと合う鍵と鍵穴だったからですよ。僕はそう思いますね。

分かりましたわ。デンマンさんのおっしゃることが分かったような気がしますわ。

そうですか。

つまり、あたしが洋ちゃんに抱かれてイケないのは、あたしと洋ちゃんがピッタリと合う鍵と鍵穴ではないと言うことなんですね?

そうだとは断定できませんよ。他のカップルと比べたら、清水君とレンゲさんが気心の通わないカップルだとは思えない。第一、文字通り毎日愛し合っているのですからね。

でも、デンマンさんが、定さんの調書を引用して言おうとしていることは、あたしと洋ちゃんが“比翼連理”のカップルではないと言うことですわ。

レンゲさんは、僕がこの話をしたので初めて気づいたようなことを言っているけれど、実は知っていたんですよね。でしょう?

そうやって、デンマンさんは、あたしの一番触れて欲しくないところにグサリとナイフを突き立てるのですわね?

レンゲさんは、頭の良い人なんですよ。すべて分かっている。分かっているのに、気持ちを切り替えることができない。つまり、“足るを知る”と言う気持ちになれないのは、タバコをやめたいのにタバコがやめられない人とすっかり同じですよ。

つまり、あたしの意志が弱いと言うのでしょう?

誰でも欠点がありますからね。意志が弱いと言うか、感情に押し流されやすい、という事がレンゲさんの欠点なんでしょうね。レンゲさんが、何もかも理性で割り切ったら、レンゲさんの可愛さがなくなってしまうかも知れませんよね。

そう言うデンマンさんこそ、タチが良くありませんわ。何もかも知っていて、あたしをこうして精神的にもてあそぶ。

どっちもどっちでしょう?同じ穴の狢(むじな)ですよ。狸と狐の化かし合いでしょうね。でも、そういう可愛さがレンゲさんにあるから、僕はレンゲさんに惹かれているんですよ。だから、こうして2年近くも“心の恋人”として付き合うことができるんですよ。でもね、レンゲさんが清水君に抱かれてイケないことまで僕の責任にしないでくださいよね。

していませんわ。

でもね、レンゲさんは、これから言うんですよ。“デンマンさんが、あたしを無理やり日本へ連れ戻したからこうなってしまったんですわ”とねぇ~~。

いいえ、あたし、そんなことは言いませんてばああああああああ~~

分かりましたよ。。。分かりました。そんなに大きな声で喚(わめ)かなくても聞こえますよぉ~。

【ここだけの話しですけれどね、先手を取って、何とかレンゲさんの矛先をかわすことができました。またイクのイカないの、とレンゲさんが言いだすかもしれませんよ。へへへへ。。。とにかく、レンゲさんの話の続きは、ますます面白くなりますよ。どうか期待して待っていてくださいね。もっとレンゲさんのことが知りたいのなら、下にリンクを貼っておきましたからぜひ読んでくださいね。】

       
レンゲさんの愉快で面白い、そして悩み多い日々は
次のリンクをクリックして読んでください。

■ 『レンゲさんのこれまでの話を読みたい人のために。。。』

■ 『レンゲさんの愛と心のエデン』

レンゲさんをもっと知りたい人は。。。。

■ 『女探偵ふじこが試みたレンゲさんの素行調査』

■ 『“愛の正体” と “レンゲのテーマ”』

■ 『不倫の悦びと苦悩』

■ 『レンゲさんのように苦境から立ち上がった女 ー グロリア・スタイナム』

レンゲさんの写真を見たい人は。。。

■ 『レンゲさん、あなたは実はメチャ美人なんですよ!』


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